どんなに頑張って身につけた知識やスキルを駆使しても、相手がわかってくれないと悩む人は少なくありません。『東大院生が開発!頭のいい説明は型で決まる』の著書で元駿台予備学校講師・犬塚壮志氏が相手にわかりやすく説明するためのコツを明かします。
伝わらない知識やスキルは
“ない”に等しい
「お酒に入っているアルコールってそもそもエタノールのことなんだけど、そのエタノールを酸化して無毒化する時に必要な酵素は大きく2種類あってさ。エタノールの第1段階の酸化で生じたアセトアルデヒドが二日酔いの原因物質なんだけど……」
「二日酔いのリスクを最小限に抑えるための効果的なお酒の飲み方ってあるんだけど、それって知ってる?」
皆さんは、2つの説明のうちどちらの言葉に耳を傾けますか?私は、間違いなく後者です。
実は、前者の言葉は、私が社会人になりたての頃に文系出身の友人と酒を飲んでいた時にしていた説明なのです。
その友人が何気なく、「最近、二日酔いになりやすいんだよねぇ」と漏らしました。そこで私は、酵素を専門に研究していたこともあって、すかさず得意気に前者の説明を始めてしまったのです。
しばらく説明が続いたため、友人はたまりかねて、私の話を強引にこう打ち切ったのです。
「もういいよ!酒がマズくなる。文系出身のオレにはオマエの話、全然わかんねぇよ!」