ただし、今日では域内最大の市場となっている中国を別にすれば、日本法人が大きく成長していくためには、顧客が求めている方向性などに合わせて対応できる変換力が問われる。この点は、少し足りなかったという反省がある。

 日本では、自動車、食品、ライフサイエンスなどの領域で成長できる可能性があります。私たちは、世界最大の化学メーカーの日本法人として“日本発のイノベーション”が生まれるような支援を通じて、社会の持続性に貢献したい。

 世界におけるBASFグループは、大きく5つの事業を展開しています。

 (1)化学品、(2)高機能製品、(3)機能性材料、(4)農業関連製品、(5)石油・ガスなどの事業を展開する。このうち日本法人では、(5)の石油・ガス以外の全ての事業を手掛けている。(1)~(4)だけでも、対象となる範囲は幅広く、さまざまな製品やサービスを扱っています。

中国はアジアの51%だが
日本は技術優位性で勝る

――主体性と変換力を持つという新しい方向性については、社内では具体的にどのような表現を使って説明しているのですか。

「レストランのシェフのような存在になろう」と言っています。

 社内でもよく話しているのですが、どのような分野のシェフであれ、日本で成功しているお店は、「そもそもは海外で培われてきた料理の技術」と「日本で収穫できる食材のよさ」を掛け合わせています。そうした独自の工夫により、素材が持つ魅力を引き出し、世界のどこにも存在しなかった新しい料理(価値)を生み出している。元来、日本人はそういうことが得意な民族だと思います。

 最も分かりやすい例で言えば、「和風パスタ」がある。パスタ発祥の地であるイタリア人が考えもしなかったようなやり方で、醤油をベースにした日本発のパスタを生み出しました。和風パスタは、今では世の中に広まっていますし、メニューの1つとして定着しています。私は、立派なイノベーションだと思う。和風パスタ以外にも、日本がアレンジした美味しい料理は数多くあります。