発達障害に理解のない家族
治療の遅れが本人を追いつめる

(4)家族が発達障害を理解していなかった

 小島容疑者は5歳の頃、児童保育所から「発達障害」ではないかと指摘されていた。また、昨年2月、地元の病院に2ヵ月ほど入院した時にも自閉症と診断されている。母親は子どもの発達障害を知っていたが、そのうち治ると思っていたようだ。父親が病名を聞いたのは小島容疑者が高校生の時だったが、妻に「それって、なんていう病気なの?」と聞いただけで終わったという。

 父親はメディアの取材に対して、「一朗君とは今は家族ではない」と、息子のことを「一朗君」と言って波紋を呼んだ。また「幼い頃から、人の言うことを言葉通りにしか理解できなかった、変わった子」だったと述懐した。自閉症スペクトラム障害の特性が出ているにもかかわらす、父親が子どもの状態に興味を持っていないことが、これらのコメントから推察される。

 また、母親もコメントで「自殺することはあっても、まさか他殺するなんて思いも及びませんでした」「テレビの映像を見て本当にショックで、いまだに精神状態が良くありません」と、自分本位なコメントをした。異様で特異な親子関係だったといってもいいのかもしれない。

 拙著で取材をしたいくつかの青少年犯罪のケースでも、両親が子どもの危険シグナルに早く気づいて行政や医療機関などに相談し、必要な支援を受けさせていたら、二次障害を起こさずに、事件までに至らなかったと考えられるケースが多かった。小島容疑者も全く同じだ。

 発達障害というのは「早期発見」と「早期治療」が重要で、家族だけで解決が難しい場合は、専門機関に相談し、ケアを受けることが必要となる。知的な遅延がない発達障害の人には優秀な人が多いが、コミュニケーションに困難を抱えるため、社会生活が難しい人が多い。しかし最近では、法定雇用率の改正もあり、企業でも発達障害の人を積極的に受け入れ、特性を生かして活用するところが増えてきている。

  小島容疑者も学業の成績は良かったという。両親が早期に医師や行政機関と相談して、もう一歩踏み込んだ具体的な支援をしていれば、このような事件を起こすまでには至らなかったのではないか。こうした事件が起こるたびに、日本ではまだまだ、発達障害への理解と関心が十分にないことを痛感する。凶悪な罪を犯した青少年を「特異な子」「怪物」というレッテルを貼ってうやむやにするのではなく、正しい支援が提供される環境をつくっていかなくてはならない。