景気が拡大しているうちに
どれだけ改革を進められるか

 改革の効果は中長期的に顕在化するものだが、ビジネスフレンドリーなマクロン大統領の経済改革は、短期的にも企業のマインド改善に貢献していると考えられる。またグローバル企業は、米国のフェイスブックやグーグルなどが対仏投資の強化を相次いで発表している。こうした流れがフランス企業にもつながるかどうかは、今後の経済改革の進捗次第だろう。

 マクロン大統領の経済改革を成功させるためには、2つの大きなハードルを乗り越える必要がある。

 第一のハードルは、フランス景気が好調なうちにどれだけ経済改革を推進できるかにある。解雇規制の緩和は失業者の増加につながるなど、経済改革は短期的には必ず痛みが伴うものである。ただ景気が拡大していれば、改革に伴う悪影響を吸収できる。逆に景気が悪化してしまうと、改革に伴う悪影響は吸収できない。そればかりか、悪影響がむしろ増幅されるために、改革を続けることが不可能になる。景気が拡大しているうちにどこまで経済改革を推進できるかが、その成否を握る最大のキーポイントになる。

 さらに、有権者の支持をどれだけ広げることができるか、またはつなぎとめることができるかも重要なポイントになる。これが第二のハードルである。経済改革を推進するならば二期目も展望したい中で、マクロン大統領としてはより広い有権者層から支持を集める必要がある。伝統的に分配に対する要求が強いフランスの政治風土や、フランスのみならず欧州全土で台頭する急進主義的なポピュリスト政治家の存在を考慮すれば、有権者に対する成果の還元は改革を遂行する上で必要不可欠である。

 そのためには、現状でその進捗が遅れている地方住民税の廃止など、有権者に直接恩恵がある政策を早期に実現する必要があるだろう。加えて、そうした一時的な分配型の政策のみならず、より本質的な課題を克服して有権者にその実感を与える必要がある。

 そのためには、補償金の上限のさらなる引き下げなど一段の解雇規制の緩和に踏み込むとともに、後述のように就業政策の充実化を通じて、特にフランスの将来を担う若年層を中心に雇用機会を増やしていくことが望まれる