クレーマーから家族間殺人まで
他者を攻撃する人々

 飲食店や企業に対する「悪質クレーム」が増加しているのは有名だが、「家族間殺人」などからもその傾向はうかがえる。

 警察庁のデータによると、全国の警察が2016年に摘発した殺人事件(未遂を含む)のうち、55%が親族間で起きており、この割合は年々増加傾向にあるという。

 家族とは、もっとも近い「他者」であることに異論を挟む者はいないだろう。それはつまり、とにかく人の悪いところを粗探しして批判をしなければ気が済まないという「他者攻撃癖」を持つ人にとって、もっともターゲットになりやすい、ということでもある。

「近親憎悪」という言葉があるように、家族という「もっとも身近な他者」の粗探しは、アカの他人以上に憎悪が深まり、やがて殺意すら芽生えていく。この負の連鎖が、今や年間10万件を越す「児童虐待」にも影響を及ぼしているのは明らかだ。

 先日、東京・目黒で両親から激しい虐待を受けて亡くなった5歳女児の「おねがいゆるして」とつづったノートが公開され、日本中が悲しみに包まれたが、なぜ彼女があんなにもすさまじい虐待を受けたのかというと、両親の執拗な「粗探し」と「攻撃」がなされたからだ。

「モデル体型にしたかった」「勉強するように言ったが寝ていた」。そんな両親の供述からもわかるように、彼らは我が子の「粗」が許せなかった。こちらが理想としている姿があるのに、なぜお前はその通りの振る舞いをしないのだ――。その怒りは「最も身近な他者」だからこそ、さらに激しく燃え上がる。それが目を覆うような我が子への暴行や、ネグレクトを引き起こすのだ。

 ネットやSNSの世界だけで、激しい他者攻撃がおこなわれているのならば、この現象の元凶をネットやSNSに求めることができるが、現実世界でもいたるところで他者攻撃がおこなわれているのだ。