ネズミ1400匹退治=有楽町の百貨店・9日間の収穫
 麹町保健所では7月31日から今月8日まで国電有楽町駅前の有楽街商協同組合に対し一斉ネズミとりを行った。施行店数は改装中のものを除く100店舗、発見されたネズミの死体は全部で144匹、殺そ剤を食べたうち1割の死体が見つかったとして1400匹以上のネズミが9日間で駆除されたものと見られる。(略)保健所ではまだ残暑も続き、さらに食中毒のはやる秋口にかけて病気を媒介するネズミの駆除に一般の協力を望んでいる。

 記事は1953年8月18日付の『読売新聞』下町版です。ネズミが媒介する病気を防ぐため、保健所が市中で「ネズミ一層キャンペーン」を展開し、9日間で約1400匹を駆除したというのです。

 もちろん、カルメンは商品の宣伝に駆り出されていたので、直接的に政策が絡んだわけではありませんが、当時の新聞を見ると同じような保健所の記事をチラホラ見掛けます。それだけネズミ捕獲が社会の関心事だったのでしょうし、保健所にとっても大きな課題だったことになります。

個人の健康を改善するため
地域全体の生活水準を引き上げる

 こうした保健所の政策が、「公衆衛生」の一つになります。1920年に示された米国の学者の定義を整理すると、この政策は疾病を予防したり、寿命を延ばしたりするため、身体的・精神的健康と能率の増進を図ることを目的としており、具体的な施策として、生活環境の整備や感染症の予防、個人衛生に関する教育などを挙げています。

 分かりやすく言うと、個人の健康を改善するため、地域全体の生活水準を引き上げることを目的としており、予防接種や検疫、上下水道の整備などが該当します。

 元々、公衆衛生がスタートしたのはイギリスでした。産業革命でロンドンを中心に都市化が急速に進んだことで、生活環境が不衛生になったため、上水道の整備や住宅の改善などが図られました(ジョージ・ローゼン『公衆衛生の歴史』)。