同研究所のエグゼクティブ・ディレクター、ザッカリー・ファースト氏に話を聞くと、意外な事実が見えてきた。

企業ランキングの
数値の見方、考え方は?

米ドラッカー研究所のザッカリー氏
ザッカリーさんは「ランキングの上位に入るには、消費者の行動に変化をもたらすイノベーションを生み出しているかがカギ」と指摘する(写真撮影:J.D.パワー)

――なぜ米国の大企業ランキングを発表することにしたのですか?

(ザッカリー氏、以下同) 企業の姿を捉える時、単に株価よりもきちんと総合的な指標で見たほうがより真の姿に近づけると思ったからです。そこで、経営の効率性を厳密に計測しようと、特許件数や研究開発など37の基準で各企業が業界水準をどれくらい上回っているかを点数付けし、それらをドラッカーのコア原則である「顧客満足」「従業員の関与と人材開発」「イノベーション(革新)」「社会的責任」「財務力」といった5つの分野にあてはめて採点、総合スコアとして算出したのです。

――数字(スコア)はどのように捉えればいいのでしょうか?

 受験の学力テストで使われる「偏差値」と考えていただくとわかりやすいと思います。つまり50を全体の平均値として、スコアが40~60の間に全体の約3分の2、30~70の間になると約95%、20~80の間になると約99%が含まれている……というようにです。平均値から大きく離れた場合は、0~100には収まりません。

――イノベーション(革新)を見ると、アマゾンやエクソンモービル、IBMが100を超えていることがわかります。イノベーションでは、どんなことが計測の対象となっていますか?

 1つは特許件数、特にオープンした件数ですね。いくつの特許を獲得しているのか、業界と比較します。他には毎年出された商標の数とか、研究開発などが対象となっています。ランキングを見て気づくと思いますが、例えば、上位10社を見てください。イノベーションでスコア(大体65以上)が高く、かつ他の4部門のうち少なくとも3部門で60以上のところばかりです。

――上位に入るためには、消費者の行動に変化をもたらすイノベーションを生み出しているかがカギですね。

 そうです。顧客の目から見て、○○という会社は経済のために、社会のためにどれくらい多くの貢献をしているかです。例えば、スマホは日常生活で欠かせなくなりましたし、わからないことがあればネットで検索したり、買い物は時間がなければオンラインで済ませたりしているといったように、イノベーションは、産業や市場において支配的な地位を狙うものから、市場において小さなニッチを狙うものまでいろいろあります。そしてイノベーションに成功するには、トップの座を狙っていかなければなりません。今回発表したランキングからもわかるように、イノベーションに注力し、他社を圧倒したのがアマゾンというわけです。イノベーションのみに注力したといっても過言ではありません。

――アマゾンといえば、よく物流戦略の強さが日本企業と比較されますが、米国ではどんな評価なのでしょうか?

 日本と同じように、米国でも大規模な倉庫を持っており、物流は非常に強いです。しかし社員の労働条件は必ずしもいいとは言えません。現場ではロボットも使っていて、効率性と顧客へのサービスレベルを徹底していることは評価に値しますが、それらを重視するあまり、従業員や取引先の働き方を第一に考えていない部分も見られます。その結果、残念ながら、社会的責任で平均を下回ったと思います。