子曰く、之を知る者は、之を好む者に如かず。之を好む者は、之を楽しむ者に如かず。

 これは、有名な論語の言葉です。擁也第六の20番目に出てきます。その意味するところを文字通り現代語に訳せば、「知っているというのは好むのには及ばない。好むというのは楽しむのに及ばない」ということになります。

 しかし、中国哲学の碩学・加地伸行は、「之」を敢えて「道理」と解釈します。その上で現代語訳にすると、

「老先生の教え。道理を理解できただけでは、道理を実践することに及ばない。また、道理の実践ができただけでは、道理の境地にあることに及ばない」

 となります。

 さすがです。

 アジアにおける最高の古典ならではの含蓄のある言葉です。孔子が生きたのは、今から2500年ほど前の春秋時代ですが、その言葉は21世紀を生きるビジネスパーソンにとっても示唆に富むものです。

 要するに、仕事でも趣味でも何でも、楽しんでやることに物事の本質があり、楽しむことで物事の本質が見えてくる、ということでしょう。 

 と、いう訳で、今週の音盤はデューク・エリントン楽団の「A列車で行こう」です(写真は1966年録音の「ポピュラー・エリントン」)。