◆クレジットの尺度

 クレジットとは、本来目に見えないものだ。その価値を可視化する場合、どんな尺度があるだろうか。

 ひとつに、学力や偏差値、学歴が挙げられよう。出身大学の偏差値を採用基準にする企業は多い。高い学力がある人は仕事の処理能力も高いだろうという期待があるからだ。

 自分のクレジットを確かめるには、クラウドファンディングに挑戦するという手がある。例えば、キングコングの西野亮廣氏は、1億円以上の支援を集める強者だ。日頃からSNSを駆使してクレジットを築いているからに違いない。

 クレジットにつながる要素として、「無償ですぐ動く」という習慣もあるだろう。例えば東日本大震災のような大災害が起きたとき、何かできないかと「考えたり思いついた人」が100万人いたとする。そのうち、言葉にして周囲に語る人は10万人、SNSで拡散する人が1万人、実際に行動を起こす人は1000人。なかでも「すぐやる」派は100人だ。さらに、これを10年続ける人となるとたった1人だ。ここまでくれば、圧倒的な試行錯誤を重ねた「プロ」として、「100万人に1人」の存在になれる。

◆人生の後半を充実させるために今やっておくべきこと
◇人生の山を複数作る

 今や人生は90年時代に突入し、定年も65歳へと延長された。60~65歳で定年したとしても、人生があと30年残されていることになる。いま40代から60代に向かう途中の人ならば、社会に出てからの30年間で、公私ともに1つの「山」を築いてきたはずだ。それと同じくらいの時間が、定年後にも待ち構えている。人生はもはや、富士山のような大きな山を一度登って降りるという「一山主義」のイメージではとらえきれないものとなっていると言えよう。

 そんな時代において、私たちの世代の人生観は、いくつもの山が連なる「八ヶ岳型連邦主義」に修正するべきだ。そのためには、今の仕事や組織での役割というメインの山を登っているときに、その左右に新しい山並みの「裾野」を準備しておくことだ。主軸となるい主峰の左右に、それぞれ2本くらいの裾野を作り、自分の人生を「山」から「連峰」にしていくイメージを持とう。

 裾野を準備するためには、自分が所属するコミュニティを複数持つといい。著者の場合、52歳から始めたテニスが1つのコミュニティになっている。スクールに入って集中的にレッスンを受け、一気に中級クラスまで腕を上げたことで、ダブルスの草試合にも誘ってもらいやすくなった。

 また著者は、「60歳からは恩返しの人生だ」という考えのもと、国内外を問わず、何かに貢献できるコミュニティを作って活動している。例えば、宮城県石巻市の復興をサポートしたり、義務教育を受けられないアジアの子どもたちのために、学校を建設する基金を設立したりしている。

 仕事でもスポーツでも、1万時間、つまり5~10年あれば、1つのことをマスターできる。仮に裾野から始めても、これから先の40~50年間で、あと3~6つくらいの「山」をつくれることがわかるだろう。

 自分の好きなことや子どもに関連すること、自分の暮らしや生活にうるおいをもたらすものなど、興味や関心の赴く方向に踏み出してみよう。きっと新しい世界が拡がるはずだ。