第3回では、公的年金制度の改革が個人の老後生活に与える影響について触れ、小手先の弥縫策ではなく、将来への明確な道筋を示す抜本的改革の必要性を指摘しました。しかし、そうした議論は緒についたばかりで、実際には年金に関する不確実性が高まっています。それに伴い、最近は自営業者、無職、学生などの国民年金(基礎年金)の第1号被保険者の間で若者を中心に保険料の未納が増えており、納付率は平成22年度に59.3%とついに6割を切りました。

 サラリーマンや公務員は給与から天引きされる厚生年金や共済年金の保険料の中に国民年金の分も含まれていますが、第1号被保険者は保険料の納付が各自に委ねられています。国民年金の保険料は月額1万4980円(平成24年度)、最終的には1万6900円(×保険料改定率)まで増える予定で、年間の支払額は約18万円~20万円となります。学生や無職の方はもちろん、オヤジ世代の自営業者にとっても子供の教育費や住宅ローンの返済を考えると、決して少ない額ではなく、「将来のことまで考える余裕はないし、年金制度自体もどうなるかわからないから、国民年金の保険料は後回しにしよう」と思う人もいるかもしれません。

 しかし、結論から言うと、国民年金の保険料は無理をしてでも払ったほうが得です。年金保険料の支払いは義務であり、その損得を論じること自体問題かもしれませんが、保険料を払わないと、当然、その恩恵に預かることはできません。以下に、一般にあまり知られていない国民年金の三つの大きなメリットを紹介します。

国民年金は生涯もらえる

 第1に、国民年金の老齢基礎年金は生涯もらえる終身年金であり、この点は大変重要です。なぜなら、第1回で述べたように、亡くなる直前まで元気な「ピンピンコロリ(PPK)」という人はごく一部で、たいていの人は人生最後の数年は介護が必要になり、結構お金がかかるからです。生命保険文化センターによると、85歳以上では56.95%、つまりおよそ5人に3人は要支援・要介護状態になり、要介護期間は平均4年7ヵ月に及びます。例えば、要介護5と認定された人を在宅で介護する場合、介護費用の1割分(自己負担)と超過分の負担で毎月5万1000円程度の費用が掛かります。これ以外にも基本的な生活費も必要なので、年金受給額だけでは不足かもしれませんが、少なくともその一定部分を生きている限りカバーしてくれる老齢基礎年金はありがたい存在です。