経営統合を正式に発表した石油元売り業界2位の出光興産と同4位の昭和シェル石油。統合の是非をめぐり、泥沼化していた出光経営陣と創業家のバトルの落としどころ、つまり創業家が認めた統合の「新条件」が明らかになりつつある。
創業家側は、「創業者、出光佐三氏の理念継承」と「一族からの新会社取締役への就任」が統合の前提条件であると公言してきた。もっとも、すでにその要請は盛り込まれていたものだ。
ところが、従来の創業家の主張とは一線を画する“異色の条件”が二つ含まれていた。
一つ目は、出光と昭シェルとの統合が基本合意に至った場合、出光が1200万株の自己株式を取得すること。二つ目は、2019年度から3年間の中期経営計画に、最終利益の50%、またはそれを上回る一定割合による株主還元を行うと明記することである。
自社株買いや配当引き上げによって、資本効率の改善を経営陣に迫るのは、アクティビスト、いわゆる「物言う株主」の常とう手段といえる。
創業家が経営陣に反旗を翻してから約2年。その間に、株主還元に関する要求を突き付けることはなかった。突如として盛り込まれた統合条件の背景には、創業家側の説得に回り、出光経営陣との仲介役を果たしたアクティビストの代表格、村上世彰氏の存在がありそうだ。