日本の電機メーカーはブランドを貸して商売したら?
関西出身。バブル最盛期に証券会社で働く。その後、米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。マネージャー職を務めたのちに早期リタイヤし、現在は「働かない生活」を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログ「Chikirinの日記」を開始。政治・経済からマネー・問題解決・世代論まで、幅広いテーマを独自の切り口で語り人気を博す。現在、月間150万以上のページビュー、日に2万以上のユニークユーザーを持つ、日本でもっとも多くの支持を得る個人ブロガーの1人。著書に『ゆるく考えよう』(イースト・プレス)、『自分のアタマで考えよう』(ダイヤモンド社)がある。
ちきりん ソニーのテレビ事業部は8年連続の赤字ですよね、そんなところに優秀なエンジニアを置いておけば、どんなに優秀な人材だってダメになります。1円も利益を生んだことのないエンジニアが将来、何かのビジネスの責任者となって、「この決断が大きな利益を生む!」というところで、まともな勝負ができると思えないんです。ビジネスで勝った経験がないんだから。
竹内 ソニーは金融が助けてくれるから、まだいいほうですよ。金融の人が「なんで俺たちがあんな金食い虫を助けないといけいないのか」と怒らないのが不思議ですよ。
ちきりん ああ、でもソニー銀行の場合、ソニーというブランド名が使えたことがその成功要因としてもかなり大きいんですよ。あのブランドがなかったら、ソニー銀行はあんなに素早く立ち上がれなかったはずです。そのための“のれん代”を払っていると思えば、安いもんなんじゃないかな。タケウチ銀行とか、ちきりんバンクだったら全然お金、集まらないです(笑)。ソニーの名前を冠したからですよ。
竹内 なるほど、一つのビジネスモデルですね。電機大手では、ソニーがいちばん余裕がありそうです。
ちきりん 名前が強いですよね。ソニー銀行だって、ソニーの名前があれば、アジアのどこに進出しても「うちはどんな会社か、信用できる銀行かどうか」を説明する必要さえありません。知らない人がいない名前ですから。
実際、中国のハイアールが、いまからソニーとかパナソニック、東芝といったハイレベルのブランドイメージを築くには、何千億円かかるか、何年かかるかわからないです。先生は、「死にそうな会社なんて潰れたらいい」というご意見でしたが、私は潰れるくらいなら、ブランドを売って稼いでみたらいいと思うんです。サンリオがキティちゃんをライセンス販売しているように、中国メーカーなどにたいして「キミのところのこの商品は一定の技術があるから、東芝の名前をつけて製品を売ってもいいよ。その代わり売上の2%を寄こしなさい」みたいな。
竹内 いいアイデアかもしれません。