2000年代に入ると、スティーブ・ジョブス氏率いるピクサーを買収することで、今やディズニーのヒットコンテンツの代名詞ともいえる、CGアニメ映画の『トイ・ストーリー』や『カーズ』『ファインディング・ニモ』といった従来のディズニーキャラクターになかったコンテンツを得て、現在の黄金期へとつながっています。

 トップが長く着任することは、多くの米国の大企業にとって重要な戦略となっています。例えば、何度となく事業を変化させ続けているGEにおいても、120年に及ぶ歴史の中で、CEOは10人しかいないのです。

 近視眼的な視野では、事業モデルを大きく転換させる判断を行い、さらにその効果を出すまで継続的に取り組むことはできません。何より、自分の着任期間がそう長くないことを前提に、短期間の成果だけを求めて指揮をとっているリーダーの下では、従業員は本気ではついてこないのです。

50年以上ブレない、ディズニーの人材育成

 かつてのディズニー社のテーマパーク事業は、コンテンツのヒットや景気の変動に大きく影響を受けていました。

 しかし、リピート率が90%を超えるといわれる現在のディズニー・リゾートの来場者は、キャラクターやアトラクションだけが目当てというわけではなく、テーマパークで得られる体験の素晴らしさと、キャストと呼ばれる従業員のホスピタリティに心を動かされ、繰り返し来場します。

 つまり、コンテンツの力だけではなく、テーマパークで働く人材の力によって、事業が継続的に成長する仕組みづくりが行われていることが分かります。

 世界で最初のディズニーランドは1955年にカリフォルニアで設立されましたが、ディズニーランドの徹底したホスピタリティーと、それを提供する人材育成が、半世紀以上も維持されているのは驚異的なことといえます。

 通常、多くのテーマパークは、設立時には人材育成に多くの時間とコストをかけるものですが、「ハネムーン期」と呼ばれる最初の数年間を過ぎると徐々にマンネリ化し、人材も入れ替わり、設立当初の人材育成への熱意は下がっています。

 特に、売り上げが落ちてきたテーマパークは、人員や教育への投資が削減され、本来目指していたはずのサービスレベルとはかけ離れていきます。