このライフサイクルに問題がなければ、親ウナギが海に出て産卵したのち、シラスウナギがたくさん日本の河川に戻ってきて、その多くがまた親ウナギとして海に戻っていくことになります。シラスウナギの量が減っているということは、ニホンウナギのライフサイクルのどこかで問題が起きているということです。ただし、ニホンウナギのライフサイクルを含む生態にはまだ不明な点が多く、問題の箇所やその対応策で何が本当に効果的なのか、はっきりとは分かっていません。

 そうしたなかで原因として考えられていることの1つ目が、「海洋環境の変化」です。主には近年の気候変動で、産卵場や回遊経路に変化があり、それがニホンウナギの資源量や来遊量に大きな影響を及ぼしているといわれています。

 もう1点いわれているのは、「河川などの成育環境の変化」です。シラスウナギは河川などで成魚へと成長していきますが、その環境変化が悪影響を及ぼしている可能性が指摘されています。例えば、ニホンウナギは夜行性で日中に身を潜める隠れ場所がないと育たないと言われています。しかし、最近では河川工事の影響でかくれられる岩石などがなくなっていることも少なくありません。そうした点が原因となっている可能性も考えられます。

 また別の原因では、「漁獲過剰」が挙げられています。ニホンウナギは成魚のほか、養殖に用いるシラスウナギが漁獲されており、それらの漁獲量が過剰だとする説です。これと関連して、密漁者による密漁の問題が指摘されることもあります。

 代表的に言われていることはこの3点ですが、このほか、ウィルスや寄生虫などの未知の要因が影響している可能性もなきにしもあらずなところがあります。

今年はウナギが「倍」の大きさに
尾数はそのままで、グラム数を増やす対策も

――ウナギの減少を食い止めるため、現在はどのような対策が取られているのでしょうか?

 先ほども申し上げましたが、ニホンウナギの生態はまだ不明な点も多く、減少の原因もはっきりとは分かっていません。そうしたなかで、因果関係が証明されていなくても、取り返しのつかない状態に陥らないためにすみやかに何らかの対策を行うという考えの下、成育環境の改善や漁獲対策などが行われています。