本書の要点

(1)まちづくりにはいくつか大切にするべき心構えがある。やるべきことに向き合うこと、流行に乗るのではなく自分たちの判断と責任でおこなうこと、量ではなく利益にこだわること、優秀な人材を民間に集めること、そして従来のやり方にこだわりすぎないこと、などである。

(2)福岡市が評価される理由は、人口、教育、密度、産業、投資という5つの視点で整理できる。

(3)福岡市の個性の秘密として、民間主導で発展していること、民間投資が活発なこと、周辺都市との協調と競争のバランスが優れていること、伸びしろをムリに伸ばさなかったこと、などが挙げられる。

要約本文

◇まちづくりは「常識」を疑え!
◇「やれること」ではなく「やるべきこと」を

 都市経営は50年から100年という時間をかけて成果が現れる分野であり、二世代三世代を経て、ようやく花を咲かせる。したがって数年で到達可能な「やれること」ではなく、「やるべきこと」に取り組むべきである。

 そのためには都市をひとつの企業に見立て、ヒト・モノ・カネの生産性を高め、平均所得の向上をめざすことが大切だ。企業と同じように、都市も他の都市とは競争関係にある。競争と協調を理解し、適切な判断ができる都市は発展する。逆にいうと、競争を意識せずに他の都市を真似たり、本来は戦う必要のない都市同士で潰し合いをしたりする都市は発展しない。どこと競争し、どこと競争してはいけないのかを見きわめる必要がある。

◇流行りを無視して、自分たちの判断と資金で

 その都市独自の事業に取り組み、他にはない優位性を確立することで、都市は発展する。したがってトレンドを追うのではなく、その対極をめざすべきだ。

 国というのは過去の成功事例を、全国で水平的に展開したがるものである。だがそもそも成功とは、リスクを負いながらも、それまで他の地域が考えつかなかったものにいち早く取り組んだからこそ、なし得るものである。同じことを一足遅れで取り組んでも成功にはつながらない。