エアコン代ようやく支給へ、熱中症を網戸で耐え忍んだ生活保護の現実暑さ対策が網戸しかなかった生活保護の夏を変える、厚労省の画期的な通知とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

網戸からエアコンへ
生活保護の大変革

 2018年6月27日、厚労省は画期的な通知を発行した。一言でいえば、生活保護世帯のエアコン設置・保有を「まったく問題ない」と認め、さらに保護費からの給付を可能にする内容だ。これまで、生活保護制度のもとで公認されてきた暑さ対策は、ほぼ、住宅維持費の一部としての網戸設置費用だけだった(本連載バックナンバー『生活保護での猛暑対策補助、「想定内」は網戸まで』参照)。

 冷房器具がなく、あるいはあっても電気代の増加を恐れて使い控える生活保護世帯では、もともと夏に熱中症で倒れる事例が珍しくない。2018年夏は酷暑となることが予想されており、4月や5月には、すでに夏日や真夏日が見られていた。過去に例を見ない酷暑となりそうな2018年の夏がやってきたらどうなるのかは、想像してみるまでもなかった。厚労省保護課の職員たちは、健康被害や生命が失われる事態を避けるため、全力をあげて調整したのであろう。この点は、心から評価し歓迎したい。

 酷暑が続く今日このごろ、暑すぎる部屋の中で非人間的なガマンを強いられ、夜は眠れず、健康を損ないそうな生活保護の方々に、私は大声で「みなさん、エアコンつけられるってよ!」と叫びたい。もともと、社会福祉協議会(社協)の貸付による購入・取り付けは可能だったのだが、一歩前進、いや、歴史的な大ジャンプだ。

 生活保護のもとで耐久消費財の保有が認められる条件は、「その地域で70%の世帯が保有している」ということだ。冷蔵庫、洗濯機、カラーテレビなどの「三種の神器」をはじめとする多数の耐久消費財が、「70%」という基準により、世の中全体から少し遅れて、生活保護世帯にも認められてきた。しかし冷房に関しては、クーラーの保有が認められたのは1994年だった。

 この年、埼玉県の79歳の女性に対し、福祉事務所は既に設置されていたクーラーの取り外しを求めた。その夏、女性は熱中症で入院した。厚生省(当時)は同年9月になって、クーラーの保有を認めたが、あくまで保有することを認めただけだ。その後も、冷房機器の購入に関しては「妨害?」と勘ぐりたくなる状況が続いていた。