衰えない国民民主党の高い支持率、自民党の維新への傾斜はリスクか1月19日午後、大阪・関西万博の会場(大阪市此花区)を視察後、取材に応じる首相の石破茂(左)と大阪府知事の吉村洋文 Photo:JIJI

 開幕が4月13日に迫る大阪・関西万博。しかし、盛り上がりを欠いたままチケットの売り上げも伸び悩んでいる。その一方で会場整備費は資材価格や人件費の上昇で当初の1250億円から1.9倍の2350億円に膨らむ。それでも後押し役の経団連の幹部は「万博が始まれば、来場客は尻上がりに増えると思う」と楽観的な見通しを示す。

 果たしてそうだろうか。もともと今回の万博は元大阪市長の橋下徹、元大阪府知事の松井一郎ら大阪維新の会の首脳陣が、当時の首相の安倍晋三、官房長官の菅義偉に強く働き掛けて誘致に成功した経緯がある。このため国家的行事であるにもかかわらず「関西のローカルイベント」(自民党非主流派幹部)との印象が付きまとう。

 しかも言い出しっぺの維新のリーダー2人はすでに政治の場を離れ、安倍は非業の死を遂げた。開催に向けたエネルギーが減殺されても不思議はない。万博の事実上の司令塔である経済産業省に大きな影響力を持つ元自民党幹事長、二階俊博が昨年の衆院選を機に政界を引退したことも大きい。二階は超党派の議員を束ねる「万博を成功させる国会議員連盟」の会長だった。会場費の膨張問題についても二階が防波堤になってきた。

「実際にカネがかかるんだからしょうがないじゃないか」

 1970年の大阪万博では松下電器の松下幸之助、2005年の愛知万博ではトヨタ自動車の豊田章一郎が中心になって旗を振り、成功に導いた。今回の万博ではキーマンが見当たらない。