アメリカ人にとってのアマゾン

ちなみに、選挙後に、トランプとベゾスはトランプタワーで会談し、歩み寄りを見せている。

アマゾンが行っている10万人の雇用創出も、政権との対立を和らげるために打ち出した「政治へのすり寄り」との指摘もある。

アナリストの中にも、デフレの原因はアマゾンだという主張がある。

アメリカも日本も、物価の上昇が起きない状況が続いているが、それを「アマゾンの販売力が、一般物価の上昇を抑えているからだ」との見方があるのだ。

「地球上のあらゆるものを安く」を掲げるアマゾンは、いわば「他店よりも1円でも高い商品がありましたら、値引きします」を世界中で行っている企業だ。

これからも商品の取扱量が増えるであろうし、そうするとますます低価格が可能になる。他の小売業者もアマゾンに対抗するため、価格を下げざるをえず、一般物価はますます上がらなくなる。

私が言いたいのは、この考察が正しいかでなく、アマゾンが経済に影響を与える存在だと思われていることだ。

それにしても、万が一にもアマゾンへの富とデータの集中が規制され、分割されたらどうなるのだろうか。

このことについて、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』で金融を担当するデニス・バーマンは、ツイッターにこんなジョークを書き込み反響を呼んだ。

「アマゾンが2025年に分割されるとしたらどうなるだろう。商取引、ウェブサービス、メディア、物流サービス、人工知能(AI)、ゲノム解析……分割しても(それぞれの領域で)独占か」

米国では、アマゾンは、これほどまでに恐れられているのだ。