最も新しい南海トラフ地震は、1944年の昭和東南海地震(三重県東南沖)と1946年の昭和南海地震(和歌山県南方沖)です。実はその前には、内陸地震として1943年に鳥取地震が起き、1000人以上の方が亡くなりました。

 東南海地震では約1200人が亡くなったのですが、それ以上の被害を及ぼしたのが東南海地震の1ヵ月後に起きた1945年1月の三河地震です。この内陸地震では2300人以上の方が亡くなりました。そして1946年には南海トラフで昭和南海地震が起き、1300人が犠牲になりました。

 昭和南海地震発生から2年後の1948年には、なんと3700人超の死者を出した内陸型の福井地震も起きています。福井地震以降、1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)までは大きな地震が起きなかったため、福井地震後には静穏期に入ったとみていいでしょう。

 この内陸地震とプレート境界での地震が連動する動きは南海トラフ地震だけでなく、2011年の東北太平洋沖のプレート境界で起きた東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)にも当てはまります。実際、2004年に新潟県中越地震、2007年には同じく新潟で中越沖地震、そして能登半島でも2007年に地震が起き、2008年に岩手・宮城内陸地震が起きるなど、内陸地震が頻発しています。また東北地方太平洋沖地震の直後には、静岡東部地震、長野県北部地震が発生し、1ヵ月後にはM7の福島県浜通り地震が起きました。

 現在、南海トラフ地震への警戒だけが強まっている印象ですが、上記のことからもわかるように、南海トラフの巨大地震がいきなり単独で起きるのではなく、その前後の内陸地震と共に複合した地震災害が発生すると考えるべきだと思います。つまり、南海トラフ地震の前でひずみがたまっている時期と、巨大地震の発生によって陸側プレート内の力のかかり方が大きく変化し、その直後少なくとも1ヵ月、また力のかかり方の調整による数年間は内陸地震を警戒しなければなりません。

 内陸地震は短周期の強い揺れを発生し、大きな被害を発生させます。地震の規模はプレート境界より一回り小さいのですが、その被害を過小評価することはできません。

日本海側も南海トラフ地震に無縁ではない
過去には鳥取、福井で内陸地震が発生

――では今後、いつ、どこで内陸地震が発生する可能性が高いのでしょうか?

 発掘調査などによる活断層の調査からは、それぞれの断層は数千年に1度の間隔で運動していることが分かります。こうした平均的な活動間隔から、活動時期についての切迫性が評価され確率として表現されています。しかし、こうした切迫性の評価は、あくまで数千年間の平均的なもので、プレート境界巨大地震と内陸地震の関係について考慮されたものではありません。プレートの巨大地震に近づいている時期は、このような平均的な値よりも、動きやすくなっている断層があります。