このように、暫定規制値は非常に細かく規定されているが、この4月1日付で施行された新基準値は、基本的にはセシウムだけを対象としている。半減期8日間のヨウ素131は除かれ、現状でウランは天然のレベルと変わらないとされて規制から外された。

 規制の対象は、セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム、ルテニウム106である。

 ただし、「セシウム以外の核種は、測定に時間がかかるため、移行経路ごとに各放射性核種の移行濃度を解析し、産物・年齢区分に応じた放射性セシウムの寄与率を産出し、合計して1mSv(ミリ・シーベルト)を超えないように放射性セシウムの基準値を設定する。」(2012年4月1日付厚労省資料★注①)

 わかりにくいが、要するにセシウム以外の規制対象核種については、それらが人体に及ぼす影響を計算し、合計して年間1mSvに達しないようにセシウムの規制値を決定した、ということである。

 そして、以下のようにシンプルな基準値が公表された。


 放射性セシウムの新基準値(ベクレル/kg)2012年4月1日
(いちばん右の数値はこれまでの暫定規制値、上表参照)

飲料水      10   ←       200      
牛乳      50   ←       200      
一般食品     100   ←   200-500      
乳幼児食品      50   ←   200-500      


 飲料水は20分の1、牛乳は4分の1、一般食品は2分の1から5分の1に低減され、「乳幼児食品」を新たなカテゴリーとした。

 これらの数値は、年間1mSvまで公衆被曝を許容するという考え方で、空間放射線量の公衆被曝を平時で年間1mSvとする国際放射線防護委員会(ICRP)の考え方と一致している。

 昨年、厚労省の食品安全委員会が出した指針でも生涯被曝量100mSv(誕生間もない子どもが100歳まで生きたとして年間1mSv)としており、政策上のすべての考え方がほぼ一致したといえよう。

 食品安全委員会は空間放射線量と内部被曝の合計で「生涯100mSv」としており、厳密に言えばもっと食品汚染の規制値は下げる必要があるかもしれない。しかし、乳幼児食品のカテゴリーを新たに設け、ここでは50ベクレル/kgまで引き下げているので、納得できる水準として評価したい。

 一方、空間放射線量も年間1mSv、時間当たりに換算した数値は0.23μSv(マイクロ・シーベルト)という数値がだいぶ理解されるようになり、除染指定された地域、あるいはその周辺地域の指標として機能し始めている(2012年3月5日付レポート参照)。