ちょっと注意しただけで、すぐに辞めてしまう――。若者の育て方について悩んでいる経営者や管理職は少なくない。そこで若者の離職を防ぐために、褒め方の研修を取り入れたところ、今度は管理職から不満の声が…。どう対処するのがいいのだろうか?
褒め方の研修を行ったら
管理職から不満の声
食品卸会社を経営するAさんから、社員、特に若者の育て方について悩んでいるという相談を受けた。若者の離職を防ぐために、褒め方の研修を取り入れたところ、今度は管理職から不満を言われ、困っているという。そこで管理職たちの反応を糸口に、この問題について迫ってみた。
Aさん「『仕事ができない若者の機嫌を取ってどうするんだ!?』とか言いますね。褒められれば気分が良いのはわかりますけど、それと仕事ができるようになるのは別だと思いますが…」
筆者「確かに、上司からおだてられたらヤル気になるっていう人はいますね」
Aさん「でも、ヤル気ってその瞬間だけのことですよね。困難にぶつかった時、頼りになるのは、特に褒めなくてもいい連中なんですよ」
筆者「そうですね」
私がこう言うと、Aさんはさらに褒め言葉で育てるという、最近流行りの部下育成法に関し、異を唱える。
Aさん「褒めるべき点を無理やり探して何でも褒めるとか、短所を指摘するにしても褒め言葉で言うのは、おかしくないですか?」
筆者「同感です。いつも褒められていれば気分良く過ごせますが、逆に物事が上手くいかずネガティブな気分になる時に困りますよね。そんな心理状況に慣れてないから」
Aさん「そうなんですよね。取引先の身勝手だとか、売れないのは商品のせいだとか言ってね」
筆者「自分のせいにするとへこみますからね。自分の身を守ろうと必死なんでしょう」