亜鉛やノコギリヤシの効果は?
毛髪再生医療にも期待

 前述のとおり、AGAの治療で使われているのは、主にフィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルの3つだが、それ以外に新薬が出てくる可能性はないのだろうか。

「残念ながら開発中の新薬はないようです。ホルモンに作用する薬に関して言えば、現在使われているもの以上の薬が出てくる可能性は低いでしょう。ただ、薄毛はAGA以外にも髪の毛の老化が原因とされる説があり、論文も発表されています。そこには髪の毛の老化を予防するような薬剤を開発しなければならないという記述もあるので、それが新しい展開かもしれません」

 AGA治療薬以外にも、亜鉛やノコギリヤシなどのサプリメントが薄毛に対して効果があるといううわさがある。そこで、その真偽を聞いた。

「ノコギリヤシを飲んでいたアメリカインディアンは、薄毛が少ないということが戦前からわかっていました。そこで、アメリカのメルク社が徹底的に研究して作ったのがプロペシア(フィナステリド)です。ただ、北米原産の特殊なノコギリヤシには効果があるのですが、日本で手に入るノコギリヤシは中国や南アフリカ製のものですので、おそらく効果はないと思います」

「亜鉛の場合、医学的に論文が出ています。亜鉛欠乏症でも脱毛が起きるので、そういった人には効果があるでしょう。ただ、実際に亜鉛欠乏症という方はほとんどいません。胃潰瘍や味覚障害が症状の一つなので、そういった症状がある方は、念のために飲むのもいいかもしれません」

 サプリメントは、あくまでも気休め程度に飲むのがよさそうだ。
 
 先日、毛髪再生医療において明るいニュースがあったという。6月4日に、理化学研究所と医療ベンチャー企業のオーガンテクノロジーズが、「髪を作る器官である『毛包』を大量生産することに成功した」と発表したのだ。佐藤医師も研究チームの一員であり、臨床実験を担当しているという。

「実際の治療に導入するのは2020年。治療には人工皮膚が用いられるのですが、現在は、全身で2000万~3000万円とかなり高額です。髪の毛のみの治療も、最初はそれぐらいの値段になると思います。一般の人たちが治療しやすくなるまで何年かかるかは判断しかねますが、値段はいずれ下がっていくはずです」

 これから先、さらに効果的かつ、安価な治療薬や治療法が出てくることを期待したい。