事実上の輸入ストップが続いていた日本産食品・農産品だが、中国は11月24日、輸入再開を発表した。これまで輸入を禁止していた日本酒なども、日本の政府機関が発行する原産地証明書を添付すれば輸入が認められることになった。
このニュースは上海でビジネスをする日本企業にとっては朗報となった。奇しくも発表のあった24日は上海で開催された第1回日本食品飲料展の第1日目。ここに参加した日本酒や焼酎のメーカーもこのニュースに笑顔を覗かせた。
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この見本市へは、日本国内の焼酎と日本酒のメーカー約1800社が集まる日本酒造組合中央会からも焼酎と泡盛の出展があったが、合計8社にとどまった。「今後の見通しがまだ立たない中で、出展に二の足を踏むメーカーも少なくなかった」と日本酒造組合中央会理事の高橋利郎さんは振り返る。その最大の理由というのが、福島第一原発の放射能漏れ事故を受け手の中国側の輸入禁止に他ならない。
繊月酒造株式会社(本社・熊本県)の営業部長・松田篤行さんは、「思い切って出てきてよかった」と興奮気味に話す。実際に現地では、日本からの輸入が止まっていたため品薄状態が続いており、「供給体制にも弾みがつく、今がチャンス」と期待をのぞかせた。
ますます高まる
日本酒販売の海外依存度
過去10年における日本酒の輸出が堅調に伸びている。2009 年はリーマンショックの影響で若干落ち込んだものの、2010 年は1万3770キロリットル、85億円と順調な伸びとなった。11年1月~7月の輸出量は8008キロリットル、金額は49億5800万円となり、震災の影響にもかかわらず、それぞれ前年比2.4%、4.0%の伸長を示した。そのうち、中国への輸出は今のところ237キロリットル(全輸出量の3.0%)、1億2300万円(同2.5%)にとどまるが、水面下では、各日本酒造メーカーの海外事業展開が本格化している(データ出典:神戸税関)。