マウスの底面全体が青く光っているのは、実は単なる飾りだ。

 今使っているマウスを裏返していただきたい。さすがにボールの付いた古いマウスを使っている方はほとんどいらっしゃらないと思う。

 マウスの裏側にはセンサーが付いていて、穴が開いていることだろう。そこが赤く光っていれば光学式、眼では光が見えなければレーザーマウスである。

 そもそも、登場したばかりのマウスは機械式であった。底面に仕込まれたボールが回転して動きを検出していたのだ。ボールの時代は長く続いたが、机の上のゴミを拾って動きが悪くなる欠点があった。マウスクリーニングキットまで市販されていたほどだ。

 その弱点を克服したのが、光学式マウスだ。光学式マウスは、いわばビデオを撮影するように机上の模様や凹凸を読み取り、その移動を調べてマウスの動きを検出している。

 ところが、赤く光る光学式マウスは、イマイチよく動かないことがある。特にツルツルの机の上では、情報が読み取れないために反応が悪いことがほとんどだ。

 そこで開発されたのが、「レーザーマウス」である。こちらも、基本的な仕組みは光学式マウスと同じだが、レーザーダイオードを採用することによって、さらに読み取りの精度を向上させた。

 長年パソコンを使い続けている僕は、いろいろなマウスを使って来たが、確かに赤く光る光学式は反応しない場所が多くて難儀した。また、グラフィックス作業などで微妙なエリアを選択するときに、思うように動かなくてイライラすることもある。ゴミが詰まっていない新品状態のボール式マウスの気持ちよい動作が懐かしく思えたものだ。

 ところが、レーザーマウスの登場には驚いた。その感度の良さたるや、もはやボールのマウスに匹敵する気持ちよさである。発売当初は非常に高額だったレーザータイプのマウスも徐々に値下がりしており、今や標準的なマウスとなりつつある。遠くない将来、赤く光るマウスは懐かしい存在になるだろう。

 余談だが、パソコン付属のマウスを使っている方は、一度チェックしてみた方がよい。パソコンメーカー各社は、マウスにコストをかけるつもりがないようだ。20万円を超えるパソコンに、1000円を切るような格安の光学式マウスを付けて来るケースも目立つ。