ナンピン買いには心の罠が
幾重にも張り巡らされている
株式投資をしていて、保有している株が下落したとき、多くの人は下がった価格でさらに買い増しをすることがある。これは「ナンピン買い」と言われる投資手法だが、多くの場合、このナンピン買いは失敗に終わることが多い。なぜそうなるのか、行動経済学の観点から考えてみよう。
直近ではトルコリラが大幅に下落したことで、トルコリラ建て債券や投資信託の価格も大きく下がっている。そのため、さらに買い増しを勧められることもあるかもしれないが、買い増しが必ずしも正しい行動というわけではないから注意が必要だ。
ナンピン買いがいいと言われるのは、安いところで買うことによって、前の買値と合算して平均すれば購入コストが下がり、元の買値に戻れば儲かるという考え方だからだ。ナンピンというのは漢字で書くと「難平」と書き、文字通り株が下がったという災難を和らげるという意味が込められているのではないかと推察できる。
ナンピン買いは一見、下がったときの合理的な投資行動に思える。だが、実を言うと、これには投資初心者が陥りがちな“心の罠”が幾重にも張り巡らされている。なぜ人は、自分の持っている株が下がるとナンピン買いをしたくなるのか、行動経済学で考えてみると次の理由が考えられる。