この法律は日本がまだ食糧難だった時代に、国民の主食は、良質なものを国が確保し、供給するために種の管理もしていこうというものだった。

 だが時代や状況が変わる中で、2016年9月に政府の規制改革推進会議で問題が提起された。

 種子や種苗を「戦略物資」として、国家戦略、知財戦略として位置付ける一方で、民間活力を最大限に生かした開発・供給体制にするとして、地方自治体中心のシステムに切り替え、種子法は、民間の品種開発意欲を阻害しているということで、廃止が打ち出された。

 2017年4月14日に「主要農作物種子法を廃止する法律」が成立し、今年4月に廃止された。

 政府(農水省)としては、コメなどの品質が安定し、むしろ生産農家の意欲をそぎ、「役割を終えた」ものとしている。

 ところが、廃止にはいまだ根強い批判がある。種子法廃止に反対しているのは、TPP(環太平洋パートナーシップ)に猛烈に反対していた人たちであり、一部の農家はそれに感化されて反対しているようだ。

遺伝子組み換えは
食品衛生法で規制変わらず

 反対する人は、遺伝子操作食品がどんどん日本に入ってくる、食物の種子が外資に乗っ取られる、とあおる。

 だが、遺伝子組み換えについては、厚労省管轄の食品衛生法の問題であり、同法による安全性審査で規制されている。種子法が廃止されても、食品衛生法の規制は変わりない。ちなみに食品衛生法ではコメ、麦などの遺伝子組み換えは認められてない。

 また、いろいろな食物の種子ビジネスに外資が入ってくるというのも奇妙な話だ。

 そもそも種子法の対象はコメなど3種類だけだった。一方で、種子法対象外の野菜などでは、日本の種苗会社は品種開発などで頑張っている。

 しかしそれでも種子法反対論者は、種子の権利が奪われると過剰に反応する。

 そもそもコメに限らず野菜や花などの作物全般の知的財産については、日本では「種苗法」で規定されていて、品種登録されたものの権利は保護されているのだ。

 しかも、野菜などでは、日本の民間種苗会社が持つ権利がかなりのシェアを占めているのだが、反対論者は、こうした点にはなぜか言及しない。