「自分にとって可愛い娘の姿を、とにかく自慢したい気持ちでした。普段から僕が連れて歩けるわけでもないし、家に人を呼ぶことも少なかったので、Facebookなら多くの人に見てもらえて自慢できると思っていたのだと思います。今では軽率だったと反省しています」(佐伯さん)

 さまざまなSNSの中でも、Facebookの場合は公開範囲を「友達のみの公開」に設定できるので「見ているのは知人だけ」という安心感がある。そのため、顔や所在地がわかる形で、気軽に自分や家族の写真を載せてしまう人が多い。佐伯さんも、公開設定で「友達のみの公開」にしているから大丈夫だと思っていた。

 娘が3歳になった頃、佐伯さんの従兄弟から「あなたの娘の写真が、インターネットに転載されているかもしれない」という連絡があった。送られてきたURLに飛んでみると、それは2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)だった。自分の好みの女児の写真を紹介し合うというテーマの掲示板に、佐伯さんの娘の写真が数枚転載されていたのだ。

「ゾッとしたのは、写真が転載されていたことだけではありません。写真に写っている背景などの情報からか、『この子が住んでいるのは○○県の○○市あたりのようだ』とかなり詳細に自宅の範囲を推測した情報が書かれていたんです。適当な住所ではなく、まさに私たちが住む地域の名前だったので青ざめました。掲示板に書いていないだけで、本当は自宅の場所まで特定できているのではないかと思うほどでした」(佐伯さん)

 今でも、誰がそれらの写真を転載したのかわからないそうだ。

「もしかしたら、最初に転載を報告してくれた従兄弟がやったのかもしれない。仕事関係の人かもしれない。自分が過去に恨まれることをしたのかもしれない。そうやって、すっかり周りを疑うようになってしまいました。掲示板には削除依頼を出しました。でも、そこから写真が消えても、どこかで娘の写真をコピーして持っている人がいるかもしれない。そう思うと恐ろしいです。私が浮かれたせいで、娘には申し訳ないことをした」(佐伯さん)

 佐伯さんはFacebookのアカウントを削除し、インターネット上に家族の写真をアップロードすることはなくなった。現時点では、自宅に誰かが来たり何かが送られてきたりという被害は出ていない。しかし、普段は平穏に過ごしているが、ふとした時に「あの掲示板を見ていた誰かが、娘に危害を加えに来たら」という恐怖が頭をよぎることがある。