昨年から大ブレイク中の「サバ缶」。連日メディアで取り上げられるとともに、スーパーから姿を消すほどの売れ行きを見せている。メーカー各社で、売り上げは好調に推移し、マルハニチロでは2017年10月から半年間の売り上げが前年同時期に比べ、4割増となっている。
そして、サバそのものもブームだ。筆者はサバファンが集う消費者団体「全日本さば連合会」(全さば連)の広報を担当している。サバに関する取材依頼は毎年、マサバの脂がのりはじめ秋に集中するが、今年は冬が終わり、春を迎え、夏になっても週3回はサバに関する取材が入り続けている。過去に経験のない「奇跡の通年化現象」。まさに「空前絶後のサバイヤー」が到来している。
しかし、サバブームはいま急にはじまったわけではない。数年前から「サバそのもの」が注目され続けた結果である。その流れを振り返る。
今のサバ缶フィーバーは「第2次ブーム」
第1次ブームは2013年に起きていた
最近のサバ缶人気は、じつは「第2次ブーム」。第1次ブームは2013年、テレビ番組で「サバ缶がダイエットによい」と紹介されたことがきっかけだ。サバ缶に豊富に含まれる成分・EPAが「痩せるホルモン」ともいわれる「GLP―1」を出す細胞を刺激する、と話題になり、サバ缶がバカ売れ。スーパーで売り切れ状態が続いた。
このとき、サバ缶に熱い視線を寄せたのが「女性」だ。女性が一般的に好む缶詰はツナ缶。主にサラダやサンドイッチ用として購入されることが多い。そもそもサバといえば、大衆食堂や定食屋の「ボリューム満点メニュー」の定番で、男性ファンの多い魚。サバ缶もどちらかといえば「ごはんの友」「酒のつまみになる」と男性に好まれる、「メンズ缶」だった。
そんななか、ダイエットによいという美容面の効能は、目新しいニュースとして数々の女性誌に取り上げられた。結果、これまでサバ缶になじみのなかった女性たちがこぞって購入するようになったのだ。
「サバと女子」。新たな流れの兆しは、じつはとりわけ筆者が感じていたことである。本業は薬膳活動である筆者のもとに、女性誌からのサバの取材依頼が始まったのはこの頃からだ。全さば連で企画運営する、日本全国のサバを楽しむイベント「鯖ナイト」にも、女性の参加者が急増。これまで、全体の2割程度だった女性が半数近くを閉めるようになっていた。