もうひとつは、医療技術の進歩により、入院せずに外来でできる治療が増えたこと。代表的なのは、抗がん剤治療だろう。副作用をコントロールする薬が開発されたことなどにより、以前は入院が当たり前だった抗がん剤治療が外来で行えるようになった。

 先日仕事で知り合った40代の女性が「私、20代のときに抗がん剤治療で7ヵ月入院しました」と話してくれた。7ヵ月!確かに20年くらい前の抗がん剤治療ならそのくらい入院しただろう。隔世の感がある。

 私がいつも提案する「病気になったときのお金の備え」は、「がん以外の病気は毎月の収入や貯蓄から捻出し、がんにはがん保険で備える」というもの。私自身も10年くらい前から実践しているプランだ。

入院の半分以上が10日未満、短期化時代に医療保険は必要か深田晶恵さんの新刊『サラリーマンのための「手取り」が増えるワザ65~給料、年金、退職金、副業、パート収入、病気、出産で使える!』が小社より好評発売中です。「手取り」を増やすための実践的な方法を解説、「サラリーマンの手取り年収早見表」「年金の手取り早見表」「個人型DC iDeCoの節税額早見表」付き!

 入院は短期化しているのは前述の通り。入院したときに備え、20万~30万円くらいの貯蓄があれば、仮に入院が長引いたとしても何とかなる。働いている間に1~2回くらいは入院することもあるだろうという心づもりと貯蓄を持っておく。

 がんになったときでも入院日数はそれほど長くない。しかし、以前は入院して行っていた治療を外来で行うようになったので、通院費が高額になっているのだ。もちろん、高額療養費制度や健保組合の付加給付は外来でかかったお金も対象となる。しかし、毎月数万円の自己負担額が半年、1年と続くとボディブローのようにじわじわと家計に打撃を与える。

 がん保険なら、入院給付金以外に100万円などのまとまった金額のがん診断給付金を受け取れるものが多いので、そのお金で通院治療費や収入減をカバーすることができる。

 自動車事故の賠償責任など、起こってしまうと金額が多額になるリスクには保険で備えるのは有効だ。しかし、入院リスクは1ヵ月10万円程度。保険料というコストをかけずに、貯蓄でカバーする選択肢があることを知っておきたい。

(株式会社生活設計塾クルー ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)