台帳をじっくり見たら
ビックリな事態が!
仮にすぐに固定資産を棚卸できなくても、固定資産台帳をじっくり見てみましょう。
顧問先の印刷会社が自社ビルをオフバランスしたことがありますが、その理由はまさにこの台帳にあったのです。
あるとき、印刷会社の社長から1本の電話が入りました。
「固定資産台帳をまじまじと見ていたら、とんでもないものを発見しました!」
中古で買った自社ビルの耐用年数が、新設した場合と同じように設定されていたようです。実は中古資産の耐用年数は、新設時(新規取得時)に比べて短く設定できます。
本来なら減価償却が終わっているはずの建物が、まだ5000万円ほど帳簿に残っていました。
「どうしたらいいでしょうか? 過去に遡って5000万円減価償却できませんか? 帳簿には残っていても、実際の価値はゼロなのですよ」
会計事務所のミスということは明らかで、社長も頭にきています。
「残念ながら、過去の分をまとめて減価償却はできません。ここは、オフバランスしましょう」と提案し、子会社をつくって5000万円の売却損を計上することにしたのです。
社長は、いつも偉そうにしている税理士のミスということで大変ご立腹でした。しかも、その税理士は、オフバランスに反対したのです。
怒り心頭の社長は、新会社の株主として、この税理士に5%の株式を持たせたのでした。