ぴっかりカフェは“ジャングル化”した図書館だ。いろんな人が共存する空間の中には、ヤンキーもいればオタクもいる。たまに卒業生だけでなく、中退した子もやって来る。いつもは軽快なロックがかかっているが、時にはレコードプレーヤーが持ち込まれ、70~80年代の歌謡曲を聴くこともある。

 七夕には浴衣DAYと称してボランティアによる着付けとヘアセットが体験できる。ケーキを焼いてふるまってくれるおじさんや着物姿で上品な関西弁を話すおばさんもいれば、社会人になって数年のお兄さんお姉さん、赤ちゃん連れでやってくる30代ママのボランティアもいる。すでに社会不信や大人不信に陥っている子どもたちにとって、すべてが社会とつながるための体験となる。

 一番重要なのは、生徒たちの抱える問題を早期発見し、相談員や教員につなげることだ。

「お腹が減った子には何を言っても入らないから、まずはお腹を満たしてから話を始めます。ここには、家庭の状況や問題により、遅刻の多い子や、普通に学校生活ができない生徒も少なくない。DVに遭っていたり、生活保護を必要としている家庭の子もいて、そういう子たちはケースワーカーを入れて話をしたりもします」(石井さん)

 石井さんは特に「別に何も困ってないし」と言う生徒の声に耳を傾ける。

「そういう子は、自分のニーズが明確でない場合が多いです。何気ない会話を続け、『この人だったら話してもいいかな』と思える関係作りを行って、相談するハードルを低くしていきます」

 家に居場所がない生徒にとっての第二、第三の居場所となれば。そんな気持ちからカフェ運営は続く。自発的な取り組みであるため、運営資金は寄付にも頼っており、毎年が綱渡り状態。夏休み前のカレーパーティーには、必要な食材がどこからともなく差し入れされた。