マトリクスで仕事の重要性を把握する

 そこで、私がおすすめしているのが、「どの仕事がプレイングマネジャーにとって重要か?」を確認するために、下図のマトリクスを使って自分の仕事を整理することです。

「残業ゼロ」のコツは、重要な仕事にかける時間を「増やす」こと

 まず、自分がやるべき仕事をひとつずつ付箋に書き込んでいきます。ここで大切なのは、「メンバーとのコミュニケーション」「チーム状況の観察」「メンバーの育成」など、これまで十分にできていなかった「マネジャーとしての仕事」をできる限り書き出すことです。

 そして、1枚ずつ、「(1)緊急かつ重要な業務」「(2)緊急だが重要ではない業務」「(3)緊急ではないが重要な業務」「(4)緊急でも重要でもない業務」の該当する場所に貼りつけていきます。すべての付箋を貼りつけたら、全体を見渡してください。

 注目していただきたいのは「(3)緊急ではないが重要な業務」です。おそらく、ここに「マネジャーとしての仕事」がたくさん貼りつけられているはずです。「メンバーとのコミュニケーション」「チーム状況の観察」「メンバーの育成」など、本来であれば最も力を注ぐべき仕事が、「緊急ではない」という理由から、ほとんどアクションに移せていないことに気づくのではないでしょうか。

 一方、「(1)緊急かつ重要な業務」「(2)緊急だが重要ではない業務」には、「プレイヤーとしての仕事」が多く貼られているはずです。「緊急だから」という理由で、より重要性の高い「マネジャーとしての仕事」よりも優先的に対応してしまっているのですが、これは、人間の習性のようなもの。人間は誰しも、「緊急性の高いものごと」に気を取られてしまいがちです。その結果、最も重要な「マネジャーとしての仕事」が放置されるという事態を招いてしまうのです。

 ですから、プレイングマネジャーが「自分の働き方」を変えるときには、「(3)緊急ではないが重要な業務」にできる限りの時間を投入できるように、「(1)緊急かつ重要な業務」「(2)緊急だが重要ではない業務」を減らすことを強く意識する必要があるのです。

☆ps.
 この記事でご紹介した「働き方改革」のサイクルを回すためには、その前提として「現在、自分がどのように働いているか?」を可視化する必要があります。そのために、私がおすすめしている「ワークログ」(働き方の記録)について、連載第3回第4回第5回でご説明しています。ぜひ、ご参考ください。