世界の二大経済大国の間で貿易摩擦が激化する中、とりわけハイテク業界で犠牲が増えている。まだそうしていなければ、投資家はリスクを織り込め始める必要がある。新たな犠牲となっているのは中国の聯想集団(レノボグループ)だ。同社株は5日に一時、23%安まで売り込まれた。中国がひそかに超小型チップをパソコンに埋め込み、米ハイテク企業のサプライチェーン(供給網)を標的にハッキング攻撃を仕掛けたとのブルームバーグ・ビジネスウィーク誌の報道が嫌気された。レノボはこの報道で触れられていない。だが投資家は、米政府がさらに態度を硬化すれば、同社が大きな損失を被るとの不安にかられている。中国によるサイバー窃盗の疑いや、強制的な技術移転を巡る米政府の懸念はすでに頂点に達しつつある。以前までの順調な対米関係も追い風に、レノボは世界2位のPCメーカーに成長した。同社はIBMのPC・サーバー事業を買収し、グーグルからスマートフォン事業のモトローラも買収した。現在は売上高の3分の1を米州で稼ぐ一方、中国の比率は4分の1にとどまっている。
米中貿易摩擦、増えるハイテク企業の犠牲
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