個人での努力には限界も
メーカーのセキュリティー対策が急務
幸い、「mirai」に関しては、日本ではそこまで被害が出なかった。しかし、近年はウイルスの改良や拡散が進んでおり、昨年ごろから日本の機器も侵入される事例は増えているという。
年々、IoT機器の普及が進み、現在は世界で300億台が稼働中。これからますます増加していくことが予想される。
その分、標的になる対象も増えるわけだが、IoT機器の乗っ取りを防ぐためにはどのような対策があるのだろうか。吉岡氏は以下のように説明する。
「特にセキュリティーが甘く、狙われやすいルーターやWebカメラの場合、まずユーザーがすべきなのは、初期設定のままにしてあるIDやパスワードを定期的に変更すること。ただし、前述の『mirai』だと、機器に内蔵されているプログラム内容によっては、一般ユーザーが管理する設定画面とは別のルートから入りこまれてしまう可能性もあるので、万全な対策にはなりません。そのため消費者側というよりも、あくまでメーカー側がサイバー攻撃対策を講じなければならないのです」
古い機器よりも最新の機器の方が、セキュリティー対策がしっかりしているというが、まだまだ抜け穴が多い上、ハッキング技術は日進月歩だ。メーカー側も何か大きな事件や問題が発生しない限り、なかなか対策に本腰を入れることはなさそうだ。しかし、何かが起こってからでは遅いのだ。