私たちの生活を便利かつ快適にしてくれる「IoT機器」の存在。あらゆるモノがインターネットにつながることが当たり前になっていくなか、セキュリティーの甘さから悪用される危険性も指摘されている。いわゆる「IoT機器へのサイバー攻撃」の実態について、横浜国立大学大学院環境情報研究院准教授の吉岡克成氏に聞いた。(清談社 福田晃広)
個人情報が盗まれる!
IoT機器の乗っ取りとは
IoTとは「Internet of Things」の略称で、身の回りのあらゆるモノがネットにつながる仕組みのことを指す。パソコンや携帯電話以外にも、テレビ、エアコン、洗濯機、掃除機などの家電や、最近ではWebカメラ、照明、トイレの便座なども、ネットを介してスマートフォンで遠隔操作することもできるようになっている。
身近なモノにインターネットがつながることで、日々の生活が便利になるのはいいことだが、個人のプライバシーに関わるセキュリティー面が問題となってくる。吉岡氏は、そのようなIoT機器の危険性について以下のように説明する。
「全体的にIoT機器のセキュリティーは甘いのは確か。そして、インターネットに接続された家電や機械がハッカーに乗っ取られ、サイバー犯罪に利用される、いわゆる『IoT機器の乗っ取り』が世界中で起こっていて、日本でも増加傾向にあるのです」(吉岡氏、以下同)
乗っ取りというとエアコンやヒーター、電子レンジなど、不正に操作され温度や電圧が急激に高くなり、爆発させられる、といったイメージかもしれない。しかし、実際に行われることは、個人のプライベートな情報を盗み出すようなケースが多いだろうと吉岡氏は指摘する。