「独創型」には自由に話してもらう

 第三に、「相手と目を合わせる」「生き生きと話す(声に抑揚がある)」という行動特性をもつ上司は、「独創型」です。このタイプの上司は、非常にエネルギッシュでアイデアも豊富で社交的。新規事業などを担当するのは向いていますが、飽きっぽいところもあり、プロジェクトが途中で頓挫してしまうこともあります。

 このタイプは、「論理型」や「堅実型」とは違って、複雑な話やデータの説明ばかりするとイヤがられますし、たくさんの選択肢を与えすぎると面倒くさがられますので、2案に絞ったほうがいいでしょう。あるいは、相手にある程度自由に話してもらって、そこから彼が気にしている「判断ポイント」を見つけ出して、その一点に訴えることに集中するといいでしょう。

 最後に、「話すスピードが遅い」「笑顔が多い」という行動特性をもつ上司は、「感覚型」と判断できます。自分が話すよりも、相手の話をよく聞く「聞き上手」なタイプで、笑顔でコミュニケーションを潤滑にしようとするところは「論理重視」というよりも「感覚重視」と言えるでしょう。

 このタイプの上司は、周囲とうまくやっていきたいという願望をもっているので、非常に協調性があります。気配りもうまいので、あまり敵をつくらないタイプでもあります。ですから、あまり論理的にクールなコミュニケーションを取るよりも、相手とのコミュニケーションを楽しむ余裕をもって臨んだほうがいいでしょう。早口でまくしたてるのを嫌いますから、丁寧に話すことも心がけてください。

 意思決定を仰ぐ場面では、他部署の了解も得られていることを重視しますので、その点のアピールを忘れないようにしてください。さらに、提案する事業が社会的に意義があることが決断を強く後押ししてくれるので、このポイントも訴えるといいでしょう。

 以上、あえてシンプルなかたちで上司をタイプ分けして、対応策をお伝えしてきました。もちろん、相手は人間ですから、そのときの気分や体調、職場でのポジションなどによって異なる場合は多々あります。あくまでひとつの目安としてご活用いただきたいと思います。

 とにかく重要なのは、上司とのコミュニケーションは「相手に合わせる」という一点です。相手の特性をよく観察して、それぞれの特性に合わせたコミュニケーションを続ければ、必ず信頼を勝ち得、最速で意思決定を勝ち取る術を身につけることができるはずです。