サウジアラビア人ジャーナリストのジャマル・カショギ氏(59)がトルコ・イスタンブールのサウジ領事館に入ってから行方不明になっている事件は、アラブ世界の独裁政権に反対する勢力にとって、新たな暗い時代の到来を告げるものとなった。2011年の民主化運動「アラブの春」の反動として何年も続いた政府の抑圧に加えて、民主化運動の波及を防ごうとするサウジなど湾岸の君主国の動きを受けて、独裁者への批判の余地は急速に狭まっている。もはや反体制派は、たとえ亡命中であっても政府の魔の手から逃れられるとは感じられない状況にある。恐怖が高まる中、以前より横暴となったアラブ世界の政権に対して、反体制派が有効な活動を展開できる可能性は後退している。
サウジ記者失踪、アラブ反体制派の将来に懸念
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