遺産が少額でもトラブルに発展
遺産分割という難問

 相続の問題は税金だけにとどまらない。課税対象とはならなくても、遺産分割をめぐっては、親族同士のトラブルに発展するケースが後を絶たない。しかも、遺産分割でトラブルになるのは、遺産総額が少ない一般家庭が大半なのだ。

 2016年の『司法統計年報』によると、遺産分割事件での容認・調停件数7546件のうち33.1%が資産1000万円以下であり、42.3%が資産1000万円超~5000万円とあり、遺産分割のトラブルの75.4%は、遺産額が5000万円以下であることがわかる。

 なぜ遺産額が少なくても遺産分割でトラブルになりやすいのか?

 要因として考えられるのは、遺産財産の構成比である。

 国税庁の相続時種類別取得財産価額(2016年度)によると、相続財産の種類別では、トップが土地で38.0%、これに建物を合わせると43.5%となり、2位の現金・預貯金等31.2%、3位の有価証券14.4%と続く。

 分けやすい現金・預貯金に比べて、分割しにくい土地・建物の割合が一番多いことが、遺産分割でもめる原因となる。

 例えば親が残した遺産の大半は実家だけで、配偶者や兄弟の一部が同居していた場合などは分割しにくいためトラブルになりやすい。

 今回の法改正では「居住権」を設定することによって、残された配偶者が自宅に住み続けることが容易になったが、それでも事前に家族間や親族間で話し合っておかないと、スムーズに遺産分割することはできないだろう。

 相続税の対象であれば、金融機関や住宅会社、専門家などと相談し、事前対策しているケースも多いが、そこまで資産額が多くない場合には、自分は関係ないと思って事前対策を取っていないケースが大半である。