アンゲラ・メルケル氏が独首相の座から長くゆっくりとした引退へ向かう過程は、同氏が12月の党首選に出馬しないと29日に発表したことで大きく歩を進めた。問題は独連立政権が選挙で新たな大敗を喫したにもかかわらず、新たな首相候補が誰1人として浮上してきていないことだ。28日に行われた独ヘッセン州の州議会選挙で、メルケル首相率いる中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)の得票率は27%にとどまり、2013年の実績を11ポイント下回るとともに、1960年代以降で最悪の結果となった。社会民主党(SPD)の得票率も11ポイント低下し、緑の党と同率の得票率2位となった。これは、2週間前のバイエルン州議会選挙で両党が同様の大敗を喫したことに続くものだった。同州ではSPDも敗北したが、同州におけるCDUの保守系姉妹政党であるキリスト教社会同盟(CSU)が被った敗北はさらに際立っていた。昨年の連邦議会選挙後に、不人気な中道大連立政権をつくった決断は、途方もない失敗だったようだ。
メルケル氏の退任表明、大連立の失敗
国民は連立政権に不満を抱くが出口は見つからず
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