東原敏昭社長日立はIoTプラットフォーム「ルマーダ」の開発を急ぐため、米GEから大量に人材を採用。写真は今年9月、タイでのルマーダに関するプロジェクトのパーティで、乾杯の温度をとる東原敏昭社長 Photo:HITACHI
週刊ダイヤモンド2018年11月10日号は「変われぬ東芝 変わる日立」です。かつてはライバルと言われた両社でしたが、今では収益力、時価総額、経営体制など大きな格差があります。本特集では躍進を続ける日立の原動力が人事にあると着目し、その秘密を探りました。本誌に掲載した記事を、ダイヤモンド・オンラインに特別公開します。

縦割り、鈍牛、硬直的…
サイロ型だった日立の人事

 かつて日立製作所の人事は事業部の縦割りそのものだった。

 例えば、海外の子会社の日本人社員の人事権は、それぞれの出身母体の事業部が握っていた。海外子会社の幹部が、社員に出身母体以外の製品を売らせようとすると日本の事業部が反対する。海外子会社は社員の担当さえ自由に変えられない。これでは経営のスピードが上がるはずもなく、「鈍牛」とやゆされて当然だ。

 こうした反省を踏まえ、硬直的なサイロ型の人事制度を壊して統一的なシステムを構築していった。

 2012年には世界で働く日立グループ25万人(全社員30万人から工場勤務などの5万人を除く人数)の統合データベースを整備。社員の実績や能力を統一基準で評価する制度も導入した。事業部をまたぐ異動やプロジェクトチームの即時立ち上げが可能になった。