週刊ダイヤモンド2018年11月24日号第1特集は「米中戦争 日系メーカー危険度ランキング」です。米中の技術覇権、軍事覇権を懸けた戦いは、長期戦になることが決定的です。日本企業にはどう影響するのでしょうか。特集では国家間の争い標的になる自動車産業に対する影響を調査し、記事にまとめました。
「米国は、手ぐすね引いて日米物品貿易協定(TAG)交渉の開始を待ち構えていることだろう」(自動車メーカー幹部)
いよいよ年明けに、TAGの交渉が始まる。9月の日米首脳会談後、日本政府は「包括的な自由貿易協定(FTA)を回避できた」と成果を強調したが、交渉テーマの当事者である自動車メーカー経営陣に、楽観的なムードはない。
「日本が恐れていたのは、米国向け自動車と農産物に議論が及ぶことだったはず。(サービスなど包括的ではなく)物品についてど直球で話し合われるのがTAGであり、むしろ米国が本丸と定める土俵を日本が用意したようなものだ」(同)と憤りを隠さない。
米中間選挙で議会の上下両院が「ねじれ」状態となったことで、2020年の再選を狙うトランプは、「より分かりやすい成果を求める」と読む識者は多い。トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車──。世界で知られたビッグネームから好条件を引き出して政権アピールに利用する戦法はトランプの常とう手段だからだ。
そして、トランプからすれば、「貿易赤字=ロスなのだから解消するのは当然」という独自の主張を貫いているにすぎない。