気温の高い平日の午後と午後11頃に電力消費が急増する――。インド政府の役人が異様な動きに気付き始めたのは数年前のことだ。その理由は一般家庭にあった。プレルナ・グラティさんと夫のニヒル・グラティさんは数年前、プレルナさんの両親から結婚のお祝いとして2人にとって初めてのエアコンをもらった。グラティさんの家ではニヒルさんのめいが学校帰りに立ち寄るときと、就寝時にエアコンをつける。「エアコンを使ったことがなかった」という29歳のプレルナさんだが、「電気代は上がったが、眠れるなら価値はある」と話す。グラティさん夫婦にとって、エアコンは中間層に共通する欲求を満たす存在だった。しかしエアコンの普及は、13億の人口を抱えるインドにとって最大のエネルギー問題の一つでもある。多くが暑い地域にあり、所得も人口も増えつつある他の発展途上国でもエアコン需要は増加している。電力消費の過度な増加を引き起こすことなく、増え続ける電力需要に対応するにはどうすればいいのか。インドは世界中が頭を抱える難問に直面している。
インドでエアコン需要拡大、省エネ戦略の行方は
世界的難問の電力対策、LED電球の普及の成功体験を生かせるか
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