高級レストランのコーヒーなのに
カップにスプーンを入れた状態で配膳

 こんなこともあった。

 先日、別の上海の五つ星ホテルの高級レストランでのことである。コーヒーを頼んだら、コーヒーのカップにスプーンを入れた状態で配膳されたのだ。今どきの都市部の高級レストランでは絶対にありえない行為であろう。

 これも「研修時間が短く、教育不足の問題なのだろう」と思った。

 今、中国の都会のホテルで清掃従業員として働いているのは、ほとんどが農村部から出てきた50代の女性たちだ。

 彼女たちは十分な教育を受けたことがなく、都市部と農村部の「経済格差」が生活習慣にも間違いなく反映されている。その「習慣」が五つ星ホテルに泊まるような経済力のある人々とは、違う点が多々あり、マナー教育や研修も満足に受けられていないため、改善されていない点は否めない。

 一方、ホテル側も経営面から、なるべく低賃金で人を雇い、コストを抑えたいと考える。また、清掃業務は外部委託することが多いので、目が届かないのだろう。

経済発展につれて
開く「貧富の差」

 そもそも、1人の従業員は朝8時間から夜6時までの10時間勤務で、二十数部屋を掃除しなければならない重労働である。月給はおよそ3000~4000元(約5万~7万円)とされる。1泊の宿料料金は清掃従業員の1ヵ月の給料に当たる。

 ごく一部ではあるが、「同じ人間なのに、この人生の雲泥の差が腹立たしい」と、報復ともいうべき行為に及ぶ人がいる。

 経済発展につれ、だんだん開く貧富の差——。

 社会の分断化と固定化は進み、このような心理を持つ人々は今後も存在し、社会に不安定な要素を与えることになるだろう。