忘年会忘年会はやはり開いた方がいいのでしょうか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

忘年会を嫌がる若手社員は、
飲み会が嫌ではなく「会社が嫌い」

小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 忘年会の季節になりました。当社(小宮コンサルタンツ)でも毎年、少人数のゲストを招いて開催しています。忘年会を開く理由は2つあります。

 1つ目は、働く仲間との「意識の共有」のためです。いつもお話ししているように、コミュニケーションを図るためには、「意味」と「意識」の両方が必要です。上司が「頑張ろう」と言う時、社員はそれを意味として受け取るわけですが、好きな上司に言われれば、部下は素直に「よし、頑張ろう」と思い、意識として心に伝わります。しかし、嫌いな上司に言われると「頑張ろう」という意味しか伝わらず、「お前こそ頑張れよ」と心の中で舌を出されて終わりです。

 意識を共有するためには、「同じ釜の飯を食う」という表現があるように、オフの時に、普段あまり話さない人と話したり、普段話さないことなどを話して、お互いを知ることが大切です。そこで当社では、忘年会はもちろん、期末の宴会や社員旅行も毎年行っています。

 ところが経営者からは時々、「今時の若い人は忘年会や社員旅行なんて嫌がるのでは?」という声を聞くことがあります。もし忘年会を嫌がる社員がいるとしたら、彼は「忘年会が嫌い」ではなく「会社が嫌い」なのです。忘年会嫌いの社員だって、友人同士の忘年会なら喜んで出席するはずです。社員旅行には参加しなくても、好きな人との旅行なら心待ちにするはずです。

 会社が嫌いな理由は、働きがいがなく、給料をもらうだけの会社、金の切れ目が縁の切れ目の殺伐とした会社だからです。経営者の私利私欲や強欲がそうさせているのかもしれません。経営者は、もう一度、働きがいのある会社にするため良い仕事に集中させる、つまり「(1)お客さまが喜ぶこと、(2)働く周りの仲間が喜ぶこと、(3)工夫」を考えてください。この3つを主眼に据えて働く人に働いてもらえば、社員はお客さまや会社、仕事やその仲間が好きになります。もちろん、経営者もそれらを実践しなければなりません。そうすれば、その好きな会社の仲間と飲み食いができる忘年会には、積極的に出席したくなるはずです。