消費者参加型キャンペーンが「話題化」を生む
次に「クラブハウスバーガー」を送り出します。横幅は普通のハンバーガーと同じですが、パティが相当に厚いので、ジューシーでおいしいわけです。バンズも、普通に焼くのではなく、日本人が好きなモッチリ感を出すために、蒸したバンズを使うようにしました。
この時は、「マクドナルドは、実はおいしい」という意外性を訴求しようとしたので、ちょっと大胆なキャンペーンを考えました。店頭でスクラッチカードを配布して、5点満点で「おいしさ」に点数をつけてもらうことにしたのです。話題にして欲しいという狙い通り、「クラブハウスバーガー」を召し上がったお客様は、自分の評価が書かれたスクラッチカードをどんどんSNSに投稿してくれました。ほとんどが、4点以上の、素晴らしく高い評価でした。
また、何年もマクドナルドに来ていない人に「クラブハウスバーガー」を食べてもらって、5点満点で評価して、感想を言ってもらうというような、かなり挑戦的なウェブビデオとTVCMを制作し、これまた話題になりました。結果、「クラブハウスバーガー」はあっという間に売り切れてしまいました。
食品ですから、おいしくないと意味がありません。しかし、ただおいしいだけだと、おいしいものは他にもたくさんあるので、差別化になりません。「これは食べてみないと」と思って頂く理由が必要になるのです。「クラブハウスバーガー」では、「多くの人がおいしいと言っている」とか、「ずっとマクドナルドに来てなかった人でも、おいしいと言っている」というところにフォーカスしたのです。おいしさを、第三者から伝えてもらうという、極めてシンプルな考え方でした。
点数をつけてもらうなんて、リスクも大きいのではないか、と思われたかもしれませんが、そうはならないという自信がある、素晴らしい商品でした。発売前、消費者の方に実際に食べてもらって評価してもらうモニター調査があるのですが、ここで当時、過去最高の評点を取っていたのです。
絶対においしいから大丈夫だ、というのもキャンペーンの裏付けになりました。ただ、準備した数が多くなく、数週間で品切れを起こしてしまったのは残念でした。何しろ、半年前から特別な素材などを仕込んでいますから、「これは売れる!」とわかっても、もう追加での調達はできないのです。
「名前募集バーガー」もそうでしたが、「クラブハウスバーガー」で、消費者参加型のキャンペーンは、成功するとSNS上で話題になり、売上に大きな影響がある、ということを確信することになりました。