ベルベットやつや消しメタルを多用し、派手な看板を掲げたミレニアルピンクの部屋。「ピアツーピア(P2P)の衣料品レンタルアプリ」という言葉から連想するのは、こんなオフィスかもしれない。だが、「チュイルリー(Tulerie)」の共同創業者バイオレット・グロス、メリ・スミス両氏が働くのはグレーの会議室だ。本当に集中する必要があって共同オフィスのザ・ウィング(ミレニアルピンクが目立つ)に泊まる時以外はここに来る。グロス氏とスミス氏(いずれも35歳)はアパレル業界について楽しそうに話す。2人が2016年3月のファッションウィークで出会った時、スミス氏は高級百貨店のサックス・フィフス・アベニューで働いており、グロス氏は失業中だった。会ったのはチュイルリー庭園だ。アプリ名はここから取った(スミス氏によると、単純化し独自性を持たせるため2文字削った)。スミス氏はグロス夫妻にイッセイ・ミヤケのショーのチケットを渡すことになっていた。その後スミス氏とグロス氏はワインを飲み交わして意気投合した。いずれも起業に関心があり、グロス氏はファイナンス、スミス氏はファッションのバックグラウンドがあった。同年8月にはさまざまなアイデアを出し合うようになっていた。その中で忘れることのできなかったものは、会員がクローゼットを共有するというアイデアだった。何度も話し合ううち、25~45歳の女性が高級なドレスやアクセサリーなどを貸し合うコンセプトがまとまった。
洋服シェアアプリでクローゼットを他人と共有
インスタに掲載した洋服は着たくないという心理も影響
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