米国ではかつてないほど多くの人が他人に見えない形で銃を携帯している。ただ人々が持ち歩くこうした小型の拳銃の中には、暴発して所有者が撃たれる事故が発生し、問題視されているものもある。サウスダコタ州の小学校教師、トラビス・バーセルさん(34)がコートを置こうとしたときだった。ポケットに入っていたコブラ・エンタープライジズ・オブ・ユタ製の拳銃が暴発し、9ミリの銃弾がバーセルさんの腹部に当たった。動脈が切断され、脾臓(ひぞう)に穴が開き、肋骨が折れたバーセルさんは病院に運ばれ、2回の手術と5リットルを超える輸血で命を取り留めたという。コブラは同社の銃について、適切に使用すれば安全だと主張しているが、バーセルさんは「銃は引き金を引かない限り、弾が発射されるものであってはならない」と異議を唱えている。バーセルさんは約20丁の銃器を所有しており、暴発したデリンジャー銃は身の安全を守るためと所有地に出没する「迷惑な動物」を駆除する目的で200ドル(約2万3000円)で購入した。