外国人労働者受け入れの前に
ブラック業界の待遇を改善すべき

 人がやりたくないような辛い仕事はやりたくないし、低賃金でコキ使われるのは嫌に決まっている。もっといい賃金、もっといい環境で働きたいと考えるのは当たり前だ。

 日本人は勝手に、賃金も低くて待遇も悪いがゆえに日本人の働き手が集まらない業界へじゃんじゃん送り込もうとソロバンを弾いているが、彼らにも職業選択の自由がある。しょうもない低賃金で搾取したり、パワハラやセクハラが蔓延したりというブラック業界からは当然、どんどん離れていく。その動かぬ証拠が、7000人の失踪者だ。

 この雇用ミスマッチは、「外国人労働者」を何十万人受け入れたところで、なにも変わらない。つまり、今回の法案をいくら気張って通したところで、「人手不足」は解消されず、不人気業界の「ブラック化」に歯止めはかからない、むしろ「被害」を訴える労働者はどんどん国際色が豊かになっていくので、冒頭のように、日本の労働現場における「外国人差別」を世界の隅々まで広めることにしかならないのである。

 こんな暗い未来が容易に想像できるのに、「それでも日本人は戦争を選んだ」というのと同じように、「それでも日本人は外国人労働者の受け入れを選んだ」と、避けられない運命みたいに格好良く押し通そうという人も多いだろう。

 ただ、太平洋戦争に負けるにしても、もっといい負け方があったように、外国人受け入れも、もっといい受け入れ方がある。筆者は外国人労働者を決して受け入れるな、などと極論を言っているわけではない。先ほども申し上げたように「人手不足」というのは、ブラック労働がもたらす雇用ミスマッチが大きい。賃金アップや待遇改善という基本的な問題を、まずは国内の経済政策で解決しなくてはならないのだ。

 そこにまず着手をして、現在の留学生や技能実習生の賃金や待遇を上げてから、外国人労働者も受け入れようというのならばわかる。しかし、ブラック労働という日本国内の問題をキープしたまま、労働力の頭数合わせ的に海外から受け入れても、必ずセクハラやパワハラという問題が表面化し、最悪、国際的な人権問題に発展する。

 つまり、受け入れるにしても、ちゃんと体制を整えてから受け入れなくては、我々の子どもや孫の世代にひどい負の遺産を残すといっているのだ。

 それを我々は歴史の教訓から、痛いほど知っているはずだ。