相手の自己紹介をじっくり聞く

会話を始めるには、相手の自己紹介で聞いた内容に関して、分からないこと、もっと聞きたいことを質問すれば良いのです。

そして、相手が話し始めたら、「伝家の宝刀」を抜きます。これは「ペーシング」と呼ばれるもので、最大の武器です。
ペーシングとは、心理学用語で「波長合わせ」というもので、色々種類があり、「ジェスチャー」「声」「言葉」のペーシングがあります。

どれも、相手と波長を合わせるのが目的なので、ジェスチャーや声も相手の動きやトーンに合わせると、相手が気分よく話してくれるようになります。

ここでは、一番簡単な「言葉」によるペーシングを覚えましょう。
これは、全く難しく考える必要はありません。
相手の言った言葉に対して、オウム返しをするだけです。
その時のポイントは、「質問で返さなくてよい!」ということです。

「最近ジョギングを始めたんですよ」
「へぇー、ジョギングを?」

普通なら、「私もジョギングやっているんですよ!」と言いたくなるところですが、話し下手な人は、自分に話の矛先を向けるような振り方は絶対やってはいけません。

しかも、下手すると、相手から話題を奪うことにもなりかねません。
だから、言葉を繰り返すだけです。
これは、自動的にオープンクエスチョンとなり、相手が自由に何でも答えられるようになります。

商談などでも非常に有効です。
「やっぱりうちの課題は、マネジメント層が薄いことだなぁ」
「なるほど、マネジメント層が薄いんですね」
「目先の業務に追われていて中長期が見えてないんだ」
「そうですね。目先ばかり見ると中長期が見えないですよね」

こうやって相手の言葉を繰り返しているだけで、「君は若いのにうちの会社のことを良くわかっているなぁ!」と評価してもらえるのです。
相手が言った言葉を繰り返していただけなのに。

話し下手でも、この「ペーシング」という技術を使えば、相手が心地よく話してくれて、親近感や信頼も得られます。
話し下手にとって最大の武器を上手く使いこなしましょう。

「話ベタ」と思っている人が持っておくべき、たった1つの武器羽田 徹(はだ とおる)
話し方コンサルタント・トップ講師プロデューサー・株式会社web-school.tv代表取締役
大学生の頃よりラジオDJを始め、1998年に大阪人気No.1のFM802主催の新人DJオーディションに合格。その後FM愛知や文化放送でラジオオDJとして10年間活動。番組降板により挫折し不動産投資会社の営業に転職。話し方を武器にさらに営業力を磨き、2年目にトップ営業になる。2008年にはその営業力が認められ倒産寸前だったロープライス眼鏡会社の取締役営業本部長に就任し、当時64店舗から110店舗への躍進を支える。またインターネットカフェ最大手にて社外取締役を歴任。2012年、ラジオDJとしての話し方の技術、営業力、組織マネジメント力、経営経験などを生かし、組織人事コンサルタント会社のリンクアンドモチベーションにてナビゲーター(研修講師)、ファシリテーターとして活動。大手企業からベンチャーまで年間100件以上登壇、延べ2万人以上の人たちと接する。研修講師の採用や育成の責任者も兼任。新人やマネジメント研修、エグゼクティブへのスピーチ・プレゼン指導、組織活性ワークショップ、働き方改革の為のロジカルシンキング講座などを得意とする。自身の経験から「学びでこの世界を豊かにする」を理念として活動中。著書に『ビジネスマンのためのスピーチ上手になれる本』(同文舘出版)がある。社会人のための「話し方動画教室オンライン」運営。