10月15日、コンビニ銀行「ローソン銀行」が営業を開始した。7年ぶりとなる銀行新規参入であり、流通系金融機関としてはセブン銀行、イオン銀行に続く3行目となる。近い将来には、キャッシュレス決済に対応した新サービスも手掛けるという。超低金利が続く昨今、“銀行冬の時代”の到来が叫ばれて久しいが、このタイミングでの参入に勝算はあるのだろうか。決済サービスに詳しい野村総合研究所・田中大輔氏に聞いた。(取材・執筆/末吉陽子、編集/清談社)
当初のビジネスモデルは
セブン銀行とほぼ同じ
ローソン銀行は、全国に1万3000以上設置されているローソンATMの事業を引き継ぎつつ、普通預金と定期預金の新規口座獲得という新領域への挑戦がメインになる。
ローソン銀行の利用状況に応じて、Pontaポイントがたまり、年中無休で7時から19時はATM取扱手数料が無料、さらにスマートフォンアプリでも簡単に口座開設ができるなど、コンビニ銀行ならではの顧客サービスも提供していく。
これらのサービスは、コンビニ銀行としては特段、目新しいわけではないが、ローソンATMの台数規模にはポテンシャルがある。
「コンビニに行けばATMがあるというのは、日本人の共通認識ですから、新規参入に際しては優位といえるでしょう。ローソン銀行以外の口座を保有する人もローソンATMでお金を引き出せるので、手数料も入ってきます。また、事業者サイドのメリットとしては、グループの規模が大きくなってくると、回るお金の量も増えてくるので、金融を内部化していく発想は自然なものです。銀行を持つことで、資金調達やグループ内の資金の移動などにまつわるコストを抑えられます。いずれにしても、開業時点のビジネスモデルはセブン銀行とほとんど変わりません」(田中大輔氏、以下同)
流通系金融機関としては後発ではあるが、全国で24時間営業しているコンビニATMならではのネットワークの多さと便利さは、リテール向けサービス進出に有利である。ひとまず、ローソン銀行設立記念の「ATM利用でからあげクンが半額クーポン」は好評だったというが、今後の戦略はどのようなものなのだろうか。